ありとあらゆる音楽です。リュート曲、ギター曲、ニューミュージック、古楽、室内楽、アレンジメントと、本当にすべてです。現在、市販されているあらゆるアコースティック撥弦楽器の中で、リウトフォルテは最も効率的であり多目的です。これはいかなる特定の音楽スタイルにも限定されません。
もう一度簡単に答えると、それは、ありとあらゆるすべての音楽と言えます。 しかし、詰まるところ、これは個人の好みの問題です。その答えをご自身で模索されてはいかがでしょうか?
多くの秘密が関わっていますが、仕掛けというものは特にありません。音響の観点から、それ自体がラウドスピーカーの初期形態である、基本的なリュートボディは、ギターの共鳴チャンバーの箱形と比べると音響効果が優れています。 「リウトフォルテ/ギターとリュートの構築方法」をご参照下さい。
さらに悪いことに、接着されたギター指板と、ギターボディのくびれた側面は、響孔上部の共鳴板の共振を著しく抑制し、その低減の度合いが非常に大きいため、この領域では、ギターには構造的な大欠陥があるとさえ言えます。音に関わるほとんどすべての事象が起きるのは、共鳴板の半分の領域だけです。たとえフレット板が接着されていなかったとしても、響板のこの部分におけるあらゆる共振の可能性は、ギターの内側に湾曲した側面の硬直性から、著しい不利とを被っています。しかし、リュートの共鳴板の上半分は妨げられることなく、下側半分と連携して、音響効果をさらに高めます。
この意味では、ギターがモノラルスピーカーであるのに対し、リュートはステレオシステムのように挙動し、これがリュートのより興味深く変化に富んだ音の印象の主な要因となるのです。この現象の視覚化については、当ウェブサイトの「モデル/品質管理」セクションにあるモーダル解析をご参照下さい。特に368から421 Hzの範囲にご注目下さい。品質管理
他方、歴史的リュートと比較して「より大きな」リウトフォルテの音が出せるのは、その共鳴板構造の改造のお陰です。これは上述のステレオ効果を強化します。
リウトフォルテの弦の張力は中程度であり、歴史的リュートと同じように軽く作られています。そのパワーと豊かな音色は、内部構造の改変から得られています。
したがってリウトフォルテを20世紀初頭のどっしりしたチェンバロ(チェンバロ構造のピアノ)や、悪名高い「ワンダーフォーゲル・リュート」(リュート型のギター)と比較することは、まったくもって見当違いです。1920から30年代のこれらの楽器の製作が、いかなる歴史的モデルの詳細な調査にも基づかなかったことは、今では広く認識されています。対照的に、リウトフォルテは、17から18世紀のリュートの構造を極めて深く研究し、それに基づいて作られています。歴史的リュートからリウトフォルテへの発展は、十分な情報を得た上での、歴史的モデルの画期的なリメイクであり、単なる復元ではありません。これは、バロックバイオリンから19世紀のバイオリンへの発展とも比較できます。イタリアの巨匠の手によるバイオリンが改造後も由緒正しいバイオリンであり続けたように、たとえ歴史的楽器の信奉者が困惑しても、リウトフォルテは由緒正しいリュートであり続けるのです。
リウトフォルテは、その一方では(しばしば甲高く鋭い)歴史的リュートのかなり明るい音色を特徴とし、もう一方ではクラシックギターの構造の特定の面に起因する(時に陰鬱な)やや暗い音質を特徴するスペクトルのちょうど真ん中に位置します。多くの技術的な不都合を伴うオクターブ弦に逃避することなく、リウトフォルテには、4オクターブを超える範囲で、暖かい歌うデスカントと、明瞭で朗々としたバスの双方を達成するのに必要な、非常に多くの基音と倍音を持つ特性があります。
おそらくは古典派音楽分野の部外者という立場のために、あるいは彼ら自身の音を熟知しているために、特定のギタリストそして歴史的リュート奏者は、アンサンブル演奏に対する彼らの楽器の適合性を問うことに概して慣れていません。微妙な音響バランスのずれは、音楽パートナーの寛容さと聴衆の善意の組み合わせによって、しばしば埋め合わせられます。
リウトフォルテによって、撥弦楽器のアンサンブル音楽への完全な復活が、再び約束されるのです。古典派アンサンブル楽器の音響スペクトルに留意し、極端に明るすぎたり暗すぎたりする音色を回避する、音響概念が必要でした。
興味深いことに、クラシックギターまたは歴史的リュートの演奏家のいずれでもなく、音の透明性や投影能力などの一般基準に従って判断する音楽家は、リウトフォルテとクラシックギターと歴史的リュートの3つを直接比較して聴いた場合、迷わずリウトフォルテを好む傾向があります。
ご参考までに、当ウェブサイト (「ニュース/最近の録音」)に掲載されている、エリック・ベロック(リウトフォルテ)とダミアン・ギヨン(カウンターテナー)によるダウランドの録音で、撥弦楽器と声のバランスをお聞きになってみて下さい。次にこの録音と、歴史的リュートまたはクラシックギターを使用した同じレパートリーの録音とで、バランスを比較してみてください。
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多様性は望ましいことですから、それはあり得ません。リウトフォルテは、ギターまたはリュートに満足できない人々へ、または、彼らの現在の楽器コレクションをさらに増やしたいと願う演奏家たちに提供される、まったく新しいエキサイティングな楽器です。
ルネサンスおよびバロックリュートは、疑いもなく、ルネサンスとバロック音楽の演奏には適しています。それにもかかわらず、たとえそれらがタンゴやラグタイムの演奏で観客を失望させなかったとしても、歴史的衣装を着たままのリュートが、再び現代の音になる可能性はまずないでしょう。とは言え伝統を育むことは、依然として重要です。リュートに将来があるとすれば、それはまず現時点をよくよく見つめることから始めなくてはなりません。その300年前の古い装束のままでは、復活は起こりそうもありません。 リウトフォルテが提供する音のパレットは非常に幅広いため、演奏様式次第で、19世紀ギターそしてルネサンスおよびバロックリュートの音のいずれも表現することができます。 しかし、そうすることを望まず、この楽器の持つ多大な可能性に自己のスタイルを適応させるならば、それは徐々にそれ自身、すなわちリウトフォルテ本来の音になっていきます。そうなった時点では、先に尋ねられたような質問は、あまり興味深いものでなくなります。 私たちの楽器が、リュートとギターのハイブリッドであるという主張は、根本的に間違っています。 リウトフォルテは、リュートとギターの融合ではなく、純度100%のリュートです。それらの内部構造は欧州のリュート製作リュート制作の伝統を堅固に擁護しながら、なおかつ特定の要所ではそれらを超越し、例えば共鳴板のボディへの取り付けに先だつアーチ形成などの新しい構成要素を活用しています。この手順は、古楽器リュートの未解決問題であった、ブリッジ正面における共鳴板のたわみを効果的に防止します。 リウトフォルテのブリッジ直下の力木は、著名なリュート製作者ヨアヒム・ティールケ(1641~1719年)によって考案され、セバスチャン・シュネル(1676~1744年)によって完成された、わずかに非対称的な扇形力木のみの使用を修正したものです。私たちは、伝説的なボローニャのリュート製作者ラウクス・マーラー がデスカントバーで既に行っていたように、この扇形力木をブリッジの領域を越えて延長しました 。19世紀のギター製作者が、ブリッジ下で扇形力木のみを使用する利点を発見するよりはるか以前、歴史的リュート製作の最終期でそれは既に標準装備されていました。 リウトフォルテは、様々な種類の歴史的リュート(テオルボ、アーチリュート、アンジェリーク、および後期バロックリュートなど)の最良の特徴が組み合わされているという意味でのみ、「ハイブリッド楽器」と呼ぶことはできます。しかしこの観点からは、そのあらゆる先祖を等しく「ハイブリッド」と呼ばなくてはならないでしょう。テオルボはG調弦バスリュートとアーチリュートの融合であり、アーチリュートはテノールリュートとアルトリュートの融合であり、扁平なボディと3つのロゼッタがある後期ドイツの「スワンネック・リュート」は、イタリアのアーチリュート、フランスのニ短調リュート、そしてアンジェリークの融合です。 リウトフォルテの製作者は、精神において、過去の欧州におけるリュートの巨匠の伝統を再び取り戻そうとしています。これは現代のリュート追随者とは異なり、過去だけを考えるのでなく、現在と将来に常に関心を向けています。彼らは独創的であり、「オーセンテック」であることや「忠実」であることに煩わされず、今の音楽に役立たせるために、様々な構造的要素を組み合わせることをまったく厭いません。歴史的リュートの驚くほどの多様なのルーツを辿り、その精神を寛容性を持って受け継ごうとしています。私たちは将来に目を向けることで、昔の巨匠たちのお手本に従います。 「本物の」リュートの音は、実際の試聴体験と言うよりも、ロマン派の憶測と空想に基づく妄想です。19世紀の詩作は、このような過度に漠然として難解な投影に一役買いました。したがって現在の「本物の」リュートの音の擁護者は、再びそれを自問すべきではないでしょうか。それらのオリジナル張弦は言うまでもなく、何が「オリジナル」のリュートの音であり、何がそうでないのかの判断基準となる、演奏できる状態の歴史的リュートはいくつ現存しているでしょうか。このように長きにわたって無視され、演奏されてこなかった楽器の復元物の音は、本物とは異なるのは言うまでもありません。問題をさらに複雑にするのは、わずかな数の演奏できる歴史的な中世、ルネサンス、およびバロックリュートの存在が、それらの間で非常に異なるだけでなく、それらの現代の復元物の大多数とも顕著に異なるため、本来のまたは本物のリュートの音の定義を、ますます判断しずらくしているのです。 リウトフォルテの製作者は、自らの音の理想を追究します。それは過去の証明不能な音の仮説の投影に基づくものではなく、今、期待される音とその基準の認識から始まります。私たちにとっては、リウトフォルテの音が「本物の」リュートに近いかどうかよりも、可能な限り幅広いスペクトルを意のままにでき、現代人の要求を満たす新しいリュートの音を形づくることの方が、はるかに興味深い課題です。 アーチリュートとテオルボは、最初の「大音量リュート(リウトフォルテ)」とも言えましょう。現在の観点から見れば、それらはアンジェリークとJ. S.バッハの単弦バロックリュートを通過して、21世紀のリウトフォルテに至ったプロセスの始まりを告げるものです。 リウトフォルテの独創的アイデアは、バッハのリュート作品と、未だにほとんど知られておらず調査もされていなかった、彼の単弦楽器使用の伝統の研究から生まれました。残念なことに、1930年代における歴史的リュート演奏の復興以来、この単弦リュートの伝統は、ダブルコースのリュートの使用と比べると、ほとんど注目されませんでした。 その理由は、復活したリュートを当時流行していた「ワンダーフォーゲル・リュート」から明確に区別したかったためであると思われます。視覚的な違いだけでなく「doppelchörig」(ダブルコースは各コースの2本の弦を指します)と、いう強引な名称によって、侮られた単弦の「Gitarrenlaute」に対し、権威ある言葉の壁を築くことができると断言したかったのです。 シングル張弦リュートの伝統と共に、「バッハとリュート」に関するより詳細な情報は、次のサイトをご参照下さい。 www.bach-lautenwerke.de ご希望次第で、もちろんダブルコースで巻き線フレット付きのリウトフォルテもお届けできます。 しかし、ダブルコース弦では、この楽器が潜在的に持っている、完璧な能力と音色を開花させることがないことはご理解下さい。 さらに特定の音のより良い調音の理由から、巻き線フレットを移動し傾斜して配置させる前に、このような操作が、その他の弦の音に及ぼす影響と副作用が、批判的なリスナーたちにどう聴こえるのか、許容範囲であるのかどうかを考慮する必要があります。(フレット楽器の音律の問題に関する最も包括的な調査は、ウェルナー・フォン・シュトラウヒによる定評ある研究論文、Handbuch der Stimmungen und Temperaturen, 2009年です。) 古楽器フォルテピアノの複製品に、より太く張力の高い弦を数を減らして張ったところで、スタインウェイにはなりません。 リウトフォルテ開発における主な関心事は、(単独では芸術性がさして高くない)音量だけでなく、より大きい音のパレットを開くこと、そして、伝統的には衰えがちだったこの楽器の歌う能力を改善することにありました。これらの成果を達成するために、動力学スペクトルの延長は重要な前提条件でした。より太い単弦を張った歴史的に構築されたリュートの音は、確かにより良く通るようです。しかし同時に、その歴史的な共鳴板の構造を維持するならば、弦の張力を増大させる代償として、音の保持を著しく低下させることになります。このような弦張力の高い楽器は、その非常にドライな音のお陰で、アンサンブル演奏においては妥当な役割を果たすことができますが、S.L.ヴァイスが既に指摘したように、それらには独奏のための十分な魅力が欠如しているのです。「歴史的」リュートの実際の音を判断するには、それらの演奏を録音したCDを聴くことではなく、実際のコンサートで聴いた方が良く、さらに好ましくはそれらを試演してみることです。 18世紀後半のリュートの命運を決めたのは、音量不足だけではなかったことを忘れてはなりません。この弱点は当時は新進気鋭だったギターも共有しており、19世紀の聴衆がリュートの「本物の」音を素直に受け入れることができたのなら、リュートは素人愛好家の間でも生き残れたのかもしれません。音量不足よりもさらに決定的だったのは、19世紀以降、初期ロマン派ギターの「歌う」デスカント弦と豊かな音のパレットのほうが、より美的で好まれたことでした。現在のリュート奏者は、悲しいことにこの辛い真相に向き合おうとせず、その結果として、彼らの楽器のあらゆる潜在的な音響的発展を拒否する傾向があるのです。 これらの楽器の中程度の弦の張力は、どちらのスタイルにも適応します。どちらにも長所と短所があります。「理想的」撥弦方法は、ありません。長すぎる爪は、リウトフォルテには適さないようです。最良の方法は、弦を最初に指先で触れ、望まれない外的な雑音なしに良く磨かれた爪の上を滑らせる。このスタイルの組み合わせによる演奏が、より美しい音を出すことが証明されています。 リウトフォルテは、すべての音楽家のために開発されました。伝統の中に閉じこもることを望まず、伝統の創造に喜んで参加し、斬新なアイディアに富む未来志向の人々のために開発されました。 私たちの楽器は、ギタリストのニーズに譲歩したものではありません。それよりも、リウトフォルテで音楽を演奏することは、ギタリストにとって歴史的リュートを使うよりも簡単で、しかもより多くの満足感が得られるのです。純粋にギターの演奏技法を使えば、おそらくギターを連想させる音が出ることでしょう。他方、リュート奏者は、リュート特有の演奏技法を使って、「歴史的」リュートの音とされている音を連想させることができます。リウトフォルテの音は、双方を含みながら、これら両極端の間のまったく独立した位置にあります。これはまったく新しい楽器なのです。少なからぬ数の音楽家そしてリスナーが、リウトフォルテの音は、理想的なリュートまたは理想的ギターがそうあるべき音であると、既に断言しています。 その反対です。ストラップにより、または平らな足台を使用した場合、さらにはテーブル上に載せたスタイルでさえ、リュートは、これまでクラシックギターで可能であったよりも、さらに自然で優雅な見栄えを提供してくれます。不健康とも言える上半身の捻れもなく、また、ブレーキペダルを連想させる足台のようなあまり魅力的ではないサポートも必要ありません。 2010年から、総額€ 2,868(EまたはG調弦の7~9弦リウトフォルテ、カエデ材または東インド産ローズウッドボディ、キャリーケース込み)で、リウトフォルテの入門モデルをご提供しています。この製品は完璧に仕上げられ、リウトフォルテファミリーの基本的なすべての利点を兼ね備えています。(当ウェブサイトの「モデル」の項目をご覧下さい。 ) また、より高価なカテゴリーのデモ楽器を割引価格でご提供することもあります。(当ウェブサイトの「ニュース/バーゲン」の項目をご覧下さい。) クレジット記録が良好であれば、弊社の取引銀行を通じて、年利6.9%の固定利率(当ページ記載時)で最長返済期間5年の頭金なしのローンを組むことも可能です。一例として、月々€ 49のお支払い(当ページ記載時)で、カエデ材またはローズウッドボディのEまたはG調弦の7弦リウトフォルテがお求め頂けます(ただし、将来変更になる可能性もあります)。 現在200台を超える楽器が使用されていますが、中古品のリウトフォルテはほとんど出回っていません。これは所有者が、リウトフォルテを手放すことをせず、彼らの楽器の価値を高く評価している証拠です。これから先も、リウトフォルテの再販価値が、市場が既に飽和しているマスターギターや歴史的リュート複製品の価格ように下落してしまうリスクはないと思われます。