リウトフォルテは、古楽器リュートの明瞭さと高貴さに、スパニッシュギターの暖かさと豊かな色彩を加え、双方の長所を一体化させたもの。長年にわたる研究と努力の結果、最先端の楽器として近年開発されました。この楽器は、ギタリストとリュート奏者の双方に、演奏する機会を与え新しい音楽シーンを作り出すことを約束してくれるのです。その一方で、リウトフォルテは、これまで撥弦楽器上で聞かれたことのない、独特の特質を持っていて、それが紛れもない新しい創造物であることを証明しています。
室内楽アンサンブルや歌曲の伴奏で、存在を主張する能力において、リウトフォルテは、スパニッシュギターならびに歴史的リュートよりもはるかに抜きんでています。それは多様な構造的な改良によって生みだされるものであり、革新的なアイデアに満ちあふれています。リウトフォルテの際だった特徴は、大規模なコンサートホールであっても、その音色が会場の隅々までゆき渡る音響の強さです。この能力は、リュートそしてバイオリン製作の全盛期に培われ、ベノ・シュトロウによって再発見された、木材片を組み合わせる秘伝の技法のお陰と言えます。
リウトフォルテを初めて手に取った演奏家は、まず、その重量的な軽さを感じ、さらに音の出しやすさと言う点での軽さにも驚かされることでしょう。ギターでははるかに多くのエネルギーが要求され、また、歴史的リュートでは出せないレベルの音量をわずかな努力で出すことができるからです。ギターや歴史的リュートの場合は、弦を弾いた後に、音が楽器内に籠もるような印象を与えることが多々あります。リウトフォルテの場合、それとはまったく反対に、楽器のボディ内の空気と外側の空気との間にはいかなる分断もありません。音はボディからためらいなく出て行き、すべての音域で最大限の明瞭さを示し、音を保持します。
リウトフォルテにはさまざまなモデルがありますが、その弦はどれも張力が中程度で取り扱いがとてもに簡単です。そしてリウトフォルテは、リュート奏者にはもちろん、ギタリストの手にもしっくりとなじみます。別のまったく異なる楽器を演奏するために、演奏家はそれまで受け継いできた楽器をあきらめる必要もありません。リウトフォルテは、指先でも爪でも自由に弾くことができ、奏でる音色に差はありません。
リウトフォルテの時代が今まさにはじまろうとしています。ビオールに対するチェロの関係にも似て、リウトフォルテは完全に独自の楽器としての位置を確立しようとしています。リウトフォルテのその無限の可能性は、特に室内楽で見出され始めたところです。この楽器を奨励し、またそれを発展させる、リュート奏者たちとギタリストたちの経験の融合が、すべてのフレット付き撥弦世界の潤いとなることには、疑いの余地がありません。